リクルートエージェントなどの転職エージェント公式サイトのトップページに
非公開求人約10万件!
のような文字を見たことはないだろうか。
雑誌の袋とじのように(笑)中身が見られないとなると、余計に見たくなるのが人情。
しかも、50代での転職活動真っ最中。情報は少しでも多く得たい。
見たい、聞きたい、知りたい!
こうして、非公開求人への期待はどんどん大きくなっていく。
非公開求人という怪しくも魅惑的な言葉にからめ取られ、その求人案件の中にはきっと自分にぴったりのものがあるに違いないと、妄想ばかりが膨らんで行く。
だが、最初にはっきと言っておく。
非公開求人のほとんどは普通の求人である。
非公開求人とは
その名の通り、転職エージェント(人材紹介会社)がネット上などに公開していない求人のこと。
公開しない。
↓
公開できない事情がある。
↓
トップシークレットな案件。
↓
お宝求人
と勝手に解釈してしまいがちなのだが(←わが家は初期の段階でやらかしました)企業やエージェントの都合で非公開になる案件も実は多い。
非公開の理由
転職エージェントのトップであるリクルートエージェントでは、非公開の理由を公式サイトでこう説明している。
事業戦略に直結していて公開できないため
- 注力部門を更に強化するための「職種経験者」の募集
- 新規事業、新規マーケット参入に向けた「立ち上げメンバー」の募集
- 株式公開を控える企業による、「株式公開要員」の募集
- 企業が効率的に採用活動を進めるため
人気企業・人気案件などの募集する「魅力的な求人」への応募の集中回避
- 求人広告を掲載する時間のないスピード採用
- リクルートエージェントを中心に採用を進めるため、公開が不必要
全案件の約90パーセントを非公開とするリクルートエージェントが、こうして堂々とその理由を説明しているのだから、表向きの理由としては、きっとこれがすべてなのだろう。
そうして、この理由を素直に信じるのならば、やはりお宝求人が山ほどあるようにしか見えないのは、私の読解力が不足しているせいなのか。
お宝求人はごく一部
実際に転職エージェントで働いて経験のある方のブログによると(あまりにたくさんの転職ブログを読みすぎて、どのブログの情報だったのかわからなくなってしまいました。リンク貼れなくてごめんなさい)お宝求人はあるにはあるが、本当にごく一部にすぎないらしい。
しかも、その一部のお宝求人が、自分の希望職種や経歴にマッチする確率はそこからさらに低くなるので、ほとんど出会うことがないと言ってもいいくらいのレベルなんだとか。
企業の執行役員などの経験者ならば、お宝求人に出会う確率も高いのかもしれないが、わが家のようなごく普通のサラリーマンの場合には、出会えたら超ラッキー♪(←それでもまだ出会える夢を捨て切れていない(笑))くらいに思っておいたほうがよさそうだ。
非公開求人は普通の求人?
まず大前提として、夫はリクルートエージェントのような大手転職エージェントには登録していない。というか、軒並み登録拒否をされてしまい登録ができなかったのだ。
あまりの登録拒否っぷりに、試しに夫の希望職種をリクルートエージェントで検索したら
0件の検索結果が表示された。
決して特殊な職種ではないのだが、中途採用がことのほか少ない職種らしいのだ。
なので、リクルートエージェント、マイナビエージェント、dodaエージェントサービス(←ここは後日、案件紹介のメールが届いた)と登録拒否が続いた段階で、大手に登録することはあきらめた。
今は特定の業界(夫の探している職種)に強い中小のエージェントに登録をし、求人案件を紹介してもらっている。
なので、ここに書いていることは、あくまでも「中小転職エージェントの場合」の話である。
非公開求人のできるまで
普通の非公開求人?
と思う人もいるかもしれないが、お宝求人のような特別なものを除けば、求人情報を公開にするか非公開にするのかは転職エージェント側の自由。
ある企業がエージェントAとエージェントB(←こう書くとなんだか強そうだ)に人材を探して欲しいと依頼したとする。
エージェントAはすぐさまその案件をミドルの転職や人材バンクネット内に公開する。
エージェントBはその案件を公開せずに登録者ひとりひとりにメールや電話で「ぴったりの求人があります」と声をかけていく作戦に出たとしたらどうなるだろう。
エージェントA側の視点からすればその案件は公開案件だし、エージェントB側からすればそれは非公開案件となる。
非公開求人に期待しすぎない
エージェントBからお誘いをうけた転職活動中の50代君(仮名)。「わーい、非公開求人が紹介してもらえる」と喜び勇んでエージェントBとの面談うけ、案件を紹介される。お宝案件であって欲しいな、と期待を込めて企業名を見た時。
きっとこう思うに違いない。
あれ、これってネットで見た求人と一緒だぞ(がっくり)。
50代の人間が「わーい」なんて無邪気に喜ぶかどうかは別として(笑)非公開求人そのものは、言葉の響きから想像するほどに、実は特別なものではない。
50代君は紹介された求人を見た瞬間に、ネットで同じものを見たことに気づいたが、逆のパターンもある。
エージェント側に求人を紹介されて、それが非公開求人の特別なものだと喜んでいたら、後からほかの企業が同じ案件をネットに公開していたのに気づくというものだ。
紹介された段階で「これは特別だ」とうかれているので、同じ案件を見つけた時のショックはそれなりに大きい。
しかし、だからと言って
非公開求人なんてたいしたことないからね。
と割り切れないないのが、50代の苦しいところ。
転職サイトより転職エージェントでしょ、と言いながらも転職サイトからきっぱりと離れることができないのと同じように、ひょっとしてひょっとしたらの思いが常に頭の片隅にあるものだから、転職エージェントの抱える「非公開求人」の魔力は、いつまでたっても消えることがないのだ。
となると。
これがなかなか難しいのだが、転職エージェント側から求人案件を紹介してもらう時には、その案件に過度の期待はしない。
これが一番だろう。
「またどこかの求人と重なるかな」くらいの軽い気持ちでもって、「でも転職エージェントに登録しないと求人そのものすら紹介してもらえないからね」と今の状況をしっかりと受け止める。
この心構えさえ出来ていれば、非公開求人という言葉に振り回されることなく、冷静な気持ちでもって転職活動を続けることができるはずだ。
まとめ
大手転職エージェントではあるいは事情が違うのかもしれない。けれど少なくとも中小の転職エージェントにおいては、非公開求人といえども普通の求人だな、という印象が強い。
なかには、当社と企業との太いパイプで実現した求人!のようにことさら特別であることをアピールするエージェントもあったが、少ししてから別のエージェントが同じ案件を扱っているのを見かけたことがある。
あるいは、紹介された時点では本当に「当社の特別案件」だったのかもしれない。そこでの採用がなかなか上手くいかなくて、後から企業がほかのエージェントにも人材紹介を依頼した……といった流れも考えられなくもない。
それでも、特別な案件といえどもそれほど特別じゃないんだな、と思ったのを覚えている。
いずれにしても、非公開求人のほとんどは、採用企業や転職エージェント側の都合で非公開になっているものがほとんどだ。
「非公開」という言葉の響きから、公開したら世間がざわつくようなトップシークレット案件をつい想像してしまいがちだが(私だけ?)そういったものは極めて少数なのだと最初から理解しておくと、いたずらに期待と失望を繰り返さないですむ。
平常心、平常心。