毎日、毎日、転職・求人情報とにらめっこをしていると、段々と疲れて来る。いや、疲れるというよりは「心がすさんで来る」のほうが感覚としては近いかもしれない。
こんなにたくさんの求人があるというのに、なぜ夫の探し求めているような求人はないのだろう、とまず思う。
たまに「おっ!」と思うのがあっても、年齢が合わない。
年齢が合ったと思えば、今度は年収が合わない。えり好みをしているわけではないのだが、さすがに年収300万とかでは、子どもの学費を捻出できない。
それでも、働かないよりは働いたほうがマシなのか。いや、もう少しじっくり探せば、これよりは条件のいい求人がある……はず?
仕事内容、勤務地、給与……無機質な文字の並びばかりを見ていると、ふと働くって何なのだろうと考えてしまう。
働くことで自己実現だとか、仕事が生きがいだとか、社会から必要とされている感覚だとか、そんな上辺だけの言葉を素直に信じて今まで歩いて来た。
けれど、やむを得ない事情で立ち止まった瞬間、これらの言葉のむなしさが、うわっと一気に押し寄せて来た。
仕事に対する価値観が、自分の中でゆらゆらと揺れている。
日本仕事百貨とは
フジテレビの午後の情報番組「直撃LIVE グッディ!」を見ていたら、ナカムラケンタなる人物がコメンテーターとして出演していた。
今までなら、何も考えずにそのままボーっと見逃していたところなのだが、その人の肩書きに「日本仕事百貨」の文字を発見。
んん?
にほんしごとひゃっかぁ?
なにせ頭の中が転職ムードでいっぱいなものだから、すぐさま検索。そしたらまあ、なんとも風変わりな転職サイトにたどりついた。
見た目からして、ライフスタイルをテーマにしたブログか何かのようだ。
生きるように働く
便宜上、転職サイトと呼ばせてもらうが、今までの転職サイトとはかなり違う。
なんたってコンセプトが
生きるように働く
なのだ。
念のためにことわっておくが「生きるために働く」じゃない。「生きるように働く」だ。わずか2文字の違いだが、たったこれだけのことで意味ががらっと変わってしまう。
求人分類が独特
たいていの転職サイトは、業種、職種、勤務地、年収で検索をかけられるようになっている。
ところが日本仕事百貨では分類が
- ものつくる売る
- コミュニケーション
- 地域に根ざす
- デザイン
- 食と料理
- インターネット・Web
- 問題解決
- 空間づくり
- 場づくり
- ワールドワイド
- こども・福祉
- ツーリズム
- 農業漁業林業
- 日本の伝統
と、かなり変わっている。
普通はら業種や職種から仕事を探してしまうところなのだが、これなら自分の興味ある分野からのアプローチが可能だ。
求人件数はきわめて少ない
ただし、ここで仕事を見つけることはかなり難しい。おそらくは50代の中高年が納得のいく仕事を得る確率よりかなり低いだろう。
こだわりの転職サイトだからか、求人件数がきわめて少ないのだ。2016年11月2日現在で、
掲載中の求人は11件。
就職は縁とタイミングらしいから、この11件の中に自分にどんぴしゃのものがあるかもしれないが、それにしたって数万件、時には十数万件の求人情報ですら空振り続きの毎日を過ごしていると、この11件という数字が途方もなく頼りないものに感じられる。
読んで癒やされる転職情報
だったら、日本仕事百貨は全く価値のないサイトなのかといえばそんなことはない。
なにしろ読んでいて癒やされるのだ。
転職サイトに求人情報ではなくて癒やしを求めるというのも何だか変な話なのだが、そこには確かに癒やしがあるのだから仕方ない。
普通の転職サイトの詳細情報画面では、年収やら業務内容やら福利厚生やらがずらずらと記載されている。しかし日本仕事百貨の求人詳細は、無機質な情報が前面に出て来ることなく、質の良いエッセイかと思うような記事が掲載されている。
シンプルで好感のもてる写真と、これでもかと言うほどの長い文章。経済情報誌などによくある経営者へのインタビュー記事、それの庶民バージョンのような雰囲気だ。
関係者の仕事に対する思い、情熱、そしてもちろん仕事内容がていねいに語られ、
それにしても少し長いな(笑)
と思い始めた頃に、ようやっと職種や給与などの基本情報にたどりつく。
最初から求人情報のほうには期待していないので(スイマセン)最後の情報はもうどうでも良い。
われら50代中高年が読むべきは、企業関係者たちのインタビューのほうなのだ。
というのも。
仕事がない、仕事がない、と思いながら毎日求人情報を見ていると、何のために働くのかという基本的なことがすっぽり抜けおちてしまってはいないだろうか。
もちろん生活のために仕事をするのだし、もっとはっきり言ってしまえばお金のために仕事をする。それは間違いない。
けれど、このサイトのインタビュー記事を読んでいると
それだけじゃないよね。やりがいとか、夢とか、そんなものも昔はちゃんとあったよね。
そう語りかけられているような気がして来るのだ。いつもなら何のことはない普通の記事も、今の状況下で読むと非常に癒やされる。
近頃、心がちょっとざらついて来たな。
そう思っているあなたは、ぜひ一度日本仕事百貨をのぞいてみて欲しい。ちょっとした価値観の転換みたいなものをきっと体験することができるはずだ。
まとめ
今はまだ理想と現実の間で揺れ動いている段階なので、日本仕事百貨のようなサイトに癒やしを感じることができる。
でも。
いつかどこかのタイミングで、思いっきり現実に舵を切らなければならない時が来るのかな、という不安もないわけではない。
転職活動まっただ中なので、上手く消化しきれていない部分がたくさんあるのだけれども、すべてのものが収まるべきところにきちんと収まった時には、色々なことを総括してこのブログに記せたらな、と思っている。
いつになるかなぁ。ソワソワ。