それぞれの家庭ごとにそれぞれの事情があるだろうから、焦るな、と言われて、そうですね、と返事できる人ばかりではないだろう。
わが家の場合、これまでの蓄えはスズメの涙ほど。子どもの学費もまだまだ必要な上に、私は結婚してからずっと専業主婦。
一般的に言えば、もっとも転職してはいけないタイプの家庭だ。
それでも、退職勧奨を受けた夫はやむを得ず退職。50代になってからの転職・再就職活動となった。焦るつもりはなかったが、焦ってたんだろうと思う。いや、確実に焦っていたのだろう。
焦らないほうがいいですよ
夫の職種はそもそもの求人自体が非常に少ない。
書類選考が通るとか、通らないとか言う以前の問題として、職種を絞ると応募できる企業がごくわずかになってしまうのだ。
なので、企業の面接にのぞんだ回数よりも、人材紹介会社のアドバイザーさんと面談した回数のほうが圧倒的に多い。
そんな多くのアドバイザーさんの中でも、夫がとくに信頼を寄せている方が二人いる。
その二人からほぼ同時に言われたのが
あまり焦らないほうがいいですよ。
の言葉。
応募できる求人がほとんどないので、未経験の職種にも挑戦したほうがいいかどうかをたずねた時の答えがこれだった。
「とりあえず半年はじっくりと待って、それでもダメだった時にまた新たな方向を考えましょう」
「最初から自分を安売りする必要はありません」
そ、そうなのか……。
半年待って、そこから転職活動第2章に突入ってのは、あまり歓迎すべきパターンではあるのだが、転職のプロのお二方がほぼ同じことを言うのだから、しっかりと耳を傾ける必要がありそうだ。
未経験の職種は条件が格段に悪い
未経験の職種と一口に言っても、実際に応募できそうな求人にはどんなものがあるのだろう?
少し前(アドバイザーさんに相談する前)に転職サイトの求人案件にざっと目を通したことがあった。
未経験歓迎
となっている求人は、50代の中高年なんかじゃなくて、若い人を念頭に置いていると思われるものがほとんどだった。
そりゃあそうだ。
たとえ未経験であっても、若い人ならこれから育成をしていく時間が十分にある。体力もあるからフットワークも軽いだろう。
対して50代。育成している間に定年になってしまう。まだまだ若い者には……と言いつつも、気力・体力は低下の一途。さらには老眼も加わって、近頃では本を読むのも面倒臭い(……のは私(笑))。
あえて、50代を選ぶメリットを見つけるのはなかなか難しい。
人としての落ち着きとか、最低限のビジネスマナーとか、人生経験とか?
仮に50代での未経験応募がオーケーだったとしても、今度は驚くほどに給与が安くなる。
えっ、こんなに安くなるの?
と最初は思ったものだが、冷静になって考えれば当たり前だ。経験がないのだ。若い人と同じスタートラインに立つということは、若い人と同じ給与になるということなのだ。
年功序列だとか年齢給だとか、そんなものがまかり通っていた時代を下手に知っているものだから、あまりにあまりな給与事情に、一瞬、めまいがしそうになった。
さすがに新卒の給与では今後の生活が……。
そう思って他をさがすと、未経験でもそこそこの給与の会社・業界があるにはある。けれどこれらの会社・業界は調べてみると
恐ろしいほどに評判が悪い。
全部が全部と言うわけではなく、なかにはお宝求人のようなものもあるのだろうが、自分が見た限りでは、さすがにこれは厳しいな、と思うようなものばかりだった。
社員はほとんど使い捨て感覚で、だからこそ次から次へと人を採用している企業や、ぱっと見は給与が良さそうに見えても、過酷な労働条件のせいで人が集まらないところなど、それぞれに問題を抱えていそうだった。
いや、すべては自分の実力しだいでしょ!
と果敢に攻め込めるタイプの人にはいいだろうが、そこまでの覚悟を決めるのはなかなか容易ではない。
まとめ
そんなこんなを考えていると、アドバイザーさんの言葉がいかに的を射ていたのかが分かってくる。
いたずらにジタバタして心をすり減らすよりも、半年程度はじっくりと腰をすえ、今までの経歴をいかせる職場探しに全力を尽くす。
中途半端なことをするよりも一点集中。
そうすることで道が開けるかどうかなんて、たぶん誰にもわからないだろうけれど「やれるだけのことはやった」という気持ちだけは確実に手にすることができる、はず。
たかが半年。
されど半年。
どうか上手くいきますように……。
って、ブログに祈ってどうする(笑)