退職勧奨について弁護士に相談してみた

092803

弁護士に相談してみようかな。

夫がぽつりと言った。

弁護士といえば、交渉ごとと裁判のプロだ。

会社に残る方法を模索するつもりなのだろうか。今よりたとえ給料が減ったとしても、50代での転職リスクを考えるならば、それも悪くはないかもしれない。

そんなことを思っていた。

けれども、夫が考えていたのはそういうことではなかった。

退職勧奨を受けて、夫の仕事に対する情熱は驚くほどに消え去っていた。あれほどの仕事人間だった夫が、翌日には有給を取得し、日がな一日家にいた。

「冷めた」のだそうだ。

仕事に対して、会社に対して、すっと冷めてしまったと言うのだ。潮が引くように、という言葉があるが、まさしくあんな感じだったのだろう。

そんな夫が弁護士に相談したい内容はと言えば

退職勧奨の条件が打倒なものであるかのかどうか。

会社の退職要求が唐突であり、一方的なものであるのは間違いなかった。だとしたら、その条件も会社に都合の良いように設定されている可能性がある。そう考えたのだ。

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弁護士を探す

テレビでは、弁護士をよくみかける。ワイドショー番組のコメンテーターとして、あるいはニュース番組では文化人として、見ない日はないと言ってもいいほどだ。

けれど、ひとたび自分の周りを見渡してみると。

弁護士なんてものはどこにもいない。思えば、今までの暮らしの中で、弁護士とよばれる人達に遭遇した経験がまったくもってない。

相談するったって、どこの誰に?

その時、真っ先に思いついたのが弁護士ドットコムというサイトだった。

弁護士ドットコムとは

簡単に言うならば、ネット上で弁護士に相談することのできる「日本最大級の法律相談ポータルサイト」。

2016年の参議院選挙で自民党から立候補し初当選を果たした弁護士 元榮太一郎氏が2005年に運営を開始したサイトで、2016年9月28日現在で、プロフィール登録弁護士が9422人となっている。

会員登録さえすれば、誰でもサイトに質問を書き込むことができ、それに対しての弁護士からの回答を期待することができる(あくまでも期待)。なので、弁護士の意見を手っ取り早く聞きたい時には、ここに書き込むという方法もあるのだが。

我が家ではこのサイトを弁護士の検索サイトとして利用した。

むろん、ここに登録している弁護士だからといって、皆が皆信用できるわけではないだろう。それでも、今まで弁護士とは無縁の生活をしてきた者としては、弁護士探しに何らかのとっかかりが欲しかったのだ。

トップページの検索窓で「地域」に自分の住んでいる県を、「分野」には労働を指定した。

出て来た検索結果の上から順番に情報をチェックして、4人の弁護士にコンタクトを取り、2人の弁護士に相談の予約を入れた。

連絡をしただけで実際には予約をしなかった弁護士のうち一人は、予約が先までうまっていて、日程的に折り合いがつかなかった。

もう一人の弁護士は、実は当初は予約を入れていた。

「初回相談0円」をうたっていたのだが、予約をしてから数時間後に先方より電話がかかって来た。

この案件の場合は初回0円が適用されないので、1時間10800円となりますがよろしいでしょうか。

とのことだった。

意味がわからない。

労働専門の弁護士に退職勧奨の用紙を見てもらう、ただそれだけのことに初回0円が適用にならないのだとしたら、一体どんな案件なら適用になると言うのだろう。

10800円という金額だけの問題ではなかった。

ひとたびわき上がってしまった不信感はぬぐいようがなかった。このような気持ちで相談をしたところで、たとえ弁護士がとびっきりの解決策を教えてくれたとしても、きっと素直に聞くことはできないだろう。

結局、この弁護士には断りの電話を入れることになった。

ちなみに、弁護士ドットコムを見た限りでは、初回30分無料、その後30分ごとに5000円前後の料金を請求する弁護士が多かった。

実際に交渉などを頼むとなると、数十万のお金が飛んで行くが、相談をするだけならば「30分5000円」と思っておけばまず大丈夫そうだ。

ひとり目の弁護士に会う

夫とともに弁護士事務所に向かった。約束の5分前に着くと、パーテーションで区切られた待合室のような場所に通された。

不思議と緊張はしていなかった。

しばらくすると秘書(事務員?)の女性が現れて、別室へと通された。

大きく開放的な窓、壁面には法律の本がびっしりと並び、中央には6人用のテーブルが配置されている。テレビでよく見る法律事務所をひと回りほど小ぶりにしたようなイメージだ。

あぁ、自分は今、法律事務所にいるんだな。

そう思った。

いや、思ったか思わないかのタイミングで、すぐに弁護士が部屋に入ってきた。夫と同年代の男性で、独特の落ち着きを身にまとっている。

退職勧奨の用紙を一瞥すると、

退職勧奨は解雇通告とは違います。辞めたくなければ、辞める必要はありません。

と言った。さらに続けて、

そうは言っても、実際には給与の減額や、望まない職場への配置転換などはあるでしょう。

と言葉を重ねた。

退職勧奨に至る経緯をたずねられた夫は、事実を客観的に(少なくとも私にはそう見えた)淡々と語った。

感情的になったり、自分に非のないことをことさらに主張するのではないかと思っていたが、驚くほどあっさりとした説明だった。感情的になっていたのはむしろ私のほうだったのだと、その時になって初めて気づいたくらいだ。

夫の説明を一通り聞き終えると、弁護士は

相手方の話は聞けていませんが、今の話からすると、解雇をするのは相当に難しい事例だと思います。だからこそ退職割り増し金として、基本給の12ヶ月分が支給されるのでしょうね。

と言った。

12ヶ月というのは、打倒な額なんでしょうか?

私がたずねると、

ケースによりますが、ご主人の場合だとだいたい12ヶ月から24ヶ月といったところが相場でしょう。ただし、法律で何ヶ月分と決められているわけではないので、あくまでもそれぞれの会社によるとしか言えません。もう少し交渉の余地があるようにも思えますが、必ず上手くいくとは断言できません。難しいところです。

との答えが返って来た。

その他にも細かなところを確認して、約1時間の相談を終了した。

ふたり目の弁護士に会う

ふたり目の弁護士には私はあっていない。相談には夫ひとりで出かけたからだ。

夫は客観的に判断できる人が欲しいから一緒に行こうと言って来たが、一人目の弁護士の時に夫が十分冷静であると確信した私は、一緒に行くことはしなかった。

なので、こちらでの話の内容は詳しくは知らない。

夫から伝え聞くところによれば、

割増金の12ヶ月は決して悪くはない。それでも交渉をしたいというのであれば、依頼をいただければいつでも協力させていただきます、とまあ、そんなところだったようだ。

二人の弁護士にあって分かったことは、会社側から提示された条件は、標準的なものであり、決して会社に都合の良いように設定されてはいなかったということ。

けれど、それがわかったからと言って、だから何だと言うのだろう。

私の中では知る前と知ってからとでは何も変わりはなかった。

夫は……。

夫はどう思ったのだろう。会社側から最低限の「礼」をつくされた、そんな考えがあるいは脳裏をよぎったかもしれない。

会社を中心に生活をして来た会社人間の夫にとって、会社との決別にはどれほどの思いがあったのだろう。

長年専業主婦をして来た私には、到底その気持ちをおしはかることはできない。夫もきっと口にすることはないだろう。

いや、もしも口にする時があるとしたら、それは新しい就職先が決まったその時なのかもしれない。

そして、それはいつ?

今はそのことが最大の気がかりだ。


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